
「第一印象を良くするために、清潔感を手に入れたい。」
「自分では清潔にしているつもりなのに、清潔感がないと言われる。」
「皆が言ってるような清潔感のある服装って、結局どんなもの?」
そんな風に悩んでいませんか?
いつの時代も男性に求められる清潔感。仕事でもプライベートでも、第一印象で好感を持たれるための必要条件で、欠けていれば機会損失をすることになります。
では、清潔感がある人とない人の違いはどこにあるのでしょうか?
女性誌“CanCam”によると、女性が男性の清潔感を見る際のポイントは、基本の清潔さ・髪・肌・手(爪)・服装の5項目。
ここから分かるのが、「清潔感があること」と「清潔にしていること」は違うということ。基本の清潔さは条件の1つでしかなく、清潔にすること=清潔感があるとはなりません。
加えて、清潔感は加点方式ではなく減点方式なので、どの項目が欠けていても、清潔感を満たすのは難しくなります。
本記事では、ファッション業界歴19年の私が、30代以上の大人世代の男性に向け、清潔感を形成する項目の1つ「服装」の具体的なポイントを解説。
「実際、何をどう着ればいいの?」という疑問に、洋服のプロ視点のでお答えします。
30代以上の男性に向けてはいますが、20代の男性にも有益な内容にしていますので、ぜひ参考にしてください!
【筆者プロフィール】
東海地区で2020年から男性専門スタイリストとして活動する46歳。2006年〜18年は、都内のメンズ4社で販売・店舗運営を経験。伊勢丹メンズ館や原宿の直営店で多くの男性の悩みに向き合ってきました。現在は名古屋を中心に経営者や婚活中の男性をスタイリングし、累計100名以上の方をサポート。ファッションライターとして記事執筆・監修も行っています。
そもそも「清潔感がある」とはどういうこと?

まず、世にいう「清潔感」とは一体何なのでしょうか。前提となるポイントを2つ押さえておきましょう。
順に解説していきます。
清潔にしていることと、清潔感があることは違う
清潔であることと清潔感があることは違います。髪や身体を毎日洗ったり、爪を適切に整えたり、歯を磨いて清潔にすることは、清潔感ではなく最低限のマナー。清潔さは「必要条件」であり、清潔感を満たす「十分条件」ではありません。
時折、「自分は毎日お風呂に入って、髪もきちんとセットしています。」という声も聞かれますが、それは当たり前のことで、清潔感が生まれる理由にはなりません。
清潔さを土台に、服装を整えることで清潔感が生まれます。
清潔感は加点ではなく減点方式
語られることは少ないですが、清潔感は加点ではなく減点方式です。
「なんだか清潔感のない人だな…」と思われることはあっても、「この人、清潔感あるな~。」と思われることは、ごくごく稀なケース。
つまり、女性も男性も“清潔感はあって当たり前”くらいに思っているんですね。
この前提を踏まえて言うと、肌髪のツヤが減少傾向にある30代以上ほど、清潔感を意識するべきとご理解いただけるのではないでしょうか。
服装は清潔感を形成する重要な要素
女性誌“CanCam”によると、実際に女性が見ているのは、基本の清潔さ・髪・肌・手(爪)・服装の5項目です。
このうち、服装を除いた4つは、最低限の「清潔さ」で、残る服装こそが「清潔感」を与えるポイント。
こう言うと、ハードルが高く感じるかもしれませんが、大丈夫です。
「清潔さ」が毎日の習慣なしには得られないのに対し、清潔感は服の選び方・着こなしのポイントを知ることで得られます。
明日からでも取り入れるものなので、以下の服選びのコツ5選を参照してください。
清潔感を出すための服選びのコツ5選

①【サイズバランス】適度にゆるいリラックスシルエット
「輪郭」を意味し、ファッション用語で多用される言葉:シルエット。これが清潔感の一つの基準になります。
2025年現在は、オーバーサイズという身体を包み込むような大きめのシルエットが引き続きトレンド。
ただし、30代以上が急に取り入れると、ただサイズが合っていない大きな服を着ているだけに見えるため、かえって清潔感がなくなってしまいます。
◀ 大きめ | やや大きめ | 標準 | やや細め | 細め ▶ |
---|---|---|---|---|
オーバー | リラックス | ジャスト | スリム | スキニー |
30代・40代男性におすすめするのは、リラックスシルエット。若い頃とは体型が変わってくる大人世代の男性には、ボディラインを拾わないシルエットの方がバランスが整って見え、清潔感が出しやすくなります。
定番すぎるジャストシルエットだと、無個性な人になりがちなので、定番とトレンドを適度にミックスしたリラックスシルエットがいいでしょう。
②【【色使い】クリーンな印象の定番色を3~4取り入れる
大人の男性におすすめなのは、白・黒のモノトーンをベースに、グレー・ネイビー・ベージュ・オリーブなどの定番カラーを加えた配色。落ち着いた色味を組み合わせることで、一気に清潔感が出しやすくなります。
用いる色数は、靴などの小物を含めた全身を3〜4色にすることで整って見えるためおすすめです。黄色やオレンジ色といったパステルカラーは避け、モノトーン+定番カラー1〜2色を心掛けてみてください。
③【素材選び】 シワ・毛玉・テカリがあるとマイナス作用
素材選びも清潔感に必要な要素の一つです。シワ・毛玉・テカリは清潔感を損なうため、そうなりにくい素材を選ぶといいでしょう。
具体的には、コットン・リネン・ウールなどの天然素材に、ポリエステル・ナイロンなどの化学繊維を混ぜた混紡素材がおすすめです。
天然素材由来の自然な光沢感で見栄えが良く、化学繊維の機能性の高さで取り扱いやすいです。
とは言っても、決して珍しいものではなく、昨今では多くの服がこの混紡素材になっています。
一方で、天然繊維も化学繊維も単一100%のものは避けるのが無難です。具体的には、綿100%・ナイロン100%などの表記のもの。
かつては良しとされていた綿100%の服などは、洗濯や発汗で濡れた際の乾きが遅く、清潔感を邪魔をするニオイが発生する原因になることがあります。
反対に、化学繊維のみの素材はおしゃれ着に適さないテカリがあり、毛玉になりやすいなどのデメリットもあります。
どちらも清潔感を邪魔する要素なので、避けるのがベターです。
④【デザイン】無地をベースに柄モノは1つまで
清潔感を出すための服装は、無地をベースに服選びをするといいでしょう。コートやブルゾンなどのアウター・シャツやカーディガンなどのミドラー(中間着)・Tシャツなどのインナー、そしてボトムス。これら全てを無地で組んでも、配色を3〜4色に整えれば地味になり過ぎることはありません。
一方で、柄モノを取り入れることがあれば、柄は全身の中に最大1つにしてください。ボーダー・チェック・ストライプの柄に加え、プリント・ブランドロゴなどのポイントも含めた、これら全てを1つまでに留める。これをルール化することを強くおすすめします。
⑤ 【靴・小物】身体の先端部を整える
靴や腕まわりの小物類は自分で思う以上に、他人の目に留まります。よく言われることですが、理由は手先・足先が「先端」にあるから。ゆえに足先・手先は自然と目が留まるポイントなんですね。
靴は白か黒のモノトーンが合わせやすく、特に理由がなければ革靴よりもキレイめなスニーカーがおすすめです。
手首まわりにも配慮した方がいいでしょう。アクセサリー類はできるだけシンプルに、腕時計+1点くらいがバランスよく見えます。+1点は既婚の方であれば結婚指輪、独身の方なら指輪orブレスレットのどちらかがおすすめです。
意外と語られませんが、利き腕には何もつけないということも重要です。落ち着いた印象を妨げる要因になります。
一方で、両腕に何も付けないというのもNG。無頓着で子どもっぽい印象を与えてしまいます。
30代以上が避けるべき服装とその理由

清潔感は服装で出すことができますが、その逆もまた然り。
ということで、実は逆効果?頑張ってるのに「清潔感のないファッション」の例を5つ紹介してみます。
古着をMIXしたファッションは避ける
古着が流行して久しいですが、大人の男性が取り入れると清潔感の視点でマイナスになります。理由はシンプルに、汚れて見えるから。古着は肌ツヤの若々しい20代なら似合いやすいのですが、30代以上の男性がクリーンに着こなすのは難しいアイテムです。
「着古した風合いは味だ!」と考える方もいるでしょうが、そう都合よく捉えてくれるのは数少ない古着好きだけです。女性を含めた9割以上の方は、古着に対しての理解がありません。同じくらいの価格で新品の服が買える時代なので、清潔感を得やすい新しい服を買いましょう。
極端にトレンドファッションは避ける
30代以上の大人世代の男性には、トレンドを適度に取り入れたファッションを推奨しています。隆盛のオーバーシルエットの服を着ると、だらしなく見えて清潔感を損なうため、ジャストより少しゆとりのあるリラックスシルエットを選ぶといいでしょう。
似たような理由で、ボトムスの腰ばきも避けた方がいいでしょう。昭和生まれの男性は、20代の頃に覚えた腰穿きを、そのまま40代でもしているケースが多く見られます。昨今のボトムスは、ウエストで穿くように設計されているので、だらしなく見える腰ばきは避けるのが無難です。
5色以上の多色コーディネートは避ける
全身の色が5色以上の配色は派手で落ち着きのない印象を与えるため、清潔感を損ないます。3色を基準に考え、4色以内に抑えましょう。
避けた方がいいアイテムとしては、3色以上を使った柄のシャツ、襟や裏地などの一部がチェックの衣服などが挙げられます。
単体で見た時に、キャッチーな衣服ほどコーディネートに支障をきたすケースが多いので、注意してください。
ロゴドン、スポーツブランドは避ける
ブランドのロゴを用いたファッションも、清潔感を損なう可能性があります。複数のロゴを取り入れることに加え、“ロゴドン”と揶揄されるような、大きいロゴなら1つでもNGの可能性があるため、避けるのが賢明です。
この傾向は、特にスポーツブランドに多く見られます。清潔感とは違った、オラついた雰囲気になりがちなため、全身をスポーツウェアで固めるのも避けた方がいいでしょう。
肌着を着る習慣がない
男性の中には、依然として肌着を着用する習慣のない人が多くいます。素肌にTシャツ1枚で外出すると、汗染み・ニオイ・肌透けなどで清潔感を大きく損なうため、肌着を取り入れることを強く推奨します。
男性用の肌着には、タンクトップ型・Tシャツ型などタイプがありますが、ワキ汗が気になる人はTシャツ型を選ぶといいでしょう。最近の男性肌着は機能面で優れているものが多く、着ていた方が涼しく感じるものもあるので、着用感・清潔感ともに向上します。
10代・20代の頃のままTシャツ1枚で過ごしている人がいたら、先ずは夏季の肌着からお試しください。初めてなら、UNIQLOのエアリズムシリーズから始めてみるといいでしょう。
【実例あり】どんな服装がいい?30代以上が選ぶべきアイテム

では、30代以上の男性は具体的にどんなアイテムを軸に服選びをするのがいいのでしょうか?
ONとOFFに分けて解説し、具体的なスタイリング実例も紹介していきます。
【ON】カジュアルセットアップが筆頭
仕事にスーツ着用義務がないなら、ネイビーカラーのカジュアルセットアップがおすすめです。もしくは濃色のチャコールグレーでもOK。この辺りはお好みですが、若々しく見せたいならネイビー、大人っぽく見せたいならチャコールグレーを選ぶといいでしょう。
多くの商品がストレッチ性に優れているため、快適さも普段着と大差ありません。スーツの時よりもリラックスしたシルエットを選ぶのがベターです。自宅で洗えるのも見逃せないポイント。
ブラックよりもカジュアルで、清潔感の出し易い爽やかな色味のネイビー・セットアップは、大人カジュアルの鉄板アイテムです。
【OFF】イージースラックスを推奨
ベルトレスで穿けるイージースラックスをベースに、目的別で襟なしor襟付きのトップスを選ぶのがいいでしょう。適度にクリーン&カジュアルなので、清潔感を与えやすいアイテムです。
一方で、デニム素材は避けるのが無難です。特にここ数シーズン流行している穴の開いたデザインジーンズは、大人世代には向きません。
【実例】清潔感のあるスタイル3選

定番色のキレイめ大人カジュアル
- ナイロンWジャケット / Navy
- コットンリネン長袖ニット / Beige
- イージースラックス / Black
- スリッポンスニーカー / White
クリーンな定番カラーを使った大人カジュアル。ポイントは、インナーにニット。パーカーやスウェットでは年代相応の落ち着きが出ないため、クリーンな印象のニットを選択。
リラックスシルエット×定番カラーで清潔感が出ています!

休日でも大人感を忘れないシャツコーデ
- バンドカラーシャツ / Navy
- イージースラックス / Black
- スニーカー / Beige
休日にも大人らしさを出したいなら、丸首のTシャツでなくシャツを着用するのがおすすめ。
ただ、襟付きのものだとかしこまった印象を与えるので、襟なしのバンドカラーシャツが良いでしょう。
イメージ的には、丸首Tシャツと襟付きシャツの中間、いいとこどりのアイテムです。
配色も3色に抑えているため、落ち着いた清潔感のあるコーディネートですね。

スーツ縛りがない時のONコーデ
- セットアップ / Chacoal Grey
- シャツ / White
- ネクタイ / Green
- スニーカー / White
仕事が完全スーツでなければ、リラックスしたセットアップがおすすめです。
ジャージーの様な素材なので、着心地がとてもよく、自宅での洗濯も可能。
一見するとスーツにも見えるため、足元を革靴に換えると、ビジネス着にもなります。
一方で、業種によってはシャツ&タイの代わりにTシャツを着ればキレイめカジュアルにもなります!
服選びに迷うなら、プロへの依頼も選択肢のひとつ

ここまでお付き合いいただき、ありがとうございます。
最後に、よくある失敗例とともに、プロに依頼することで得られるメリットについても紹介させていただきます。
なぜ自分で選ぶと失敗するのか?よくある3つのパターン
計画性に乏しくなる
場当たり的な買い物になりがちなため、購入した枚数のわりに組めるコーディネートの数が増えません。
軸となるアイテムが定まっていないからですね。同じ理由で、新しい買い物をする度にリセットされてしまいます。
ブランド・ショップの名前、価格優先で選んでしまう
ブランド名や店名、価格を判断基準にすると失敗する可能性が高いです。選ぶ基準が明確でないからですね。
確かに、ブランド名や価格は安心・信頼の物差しにはなるのですが、ブランド名はAとBの2択になった時の最終的な判断基準に使うといいでしょう。
全身UNIQLOで無個性になる
前提として、UNIQLOの商品が悪いということではありません。私も含め、業界プロの皆さんもUNIQLOには大変お世話になっている方は多いです。
問題は、全身をUNIQLOのようなファストファッションで揃えて“それなり”に見えるのは、ファッション上級者に限られるということ。
そうではない人が、全身を無難な服、無難なサイズで選ぶと、無個性な人に見えてしまうんです。
例えば、上級者は1〜3つほどサイズを上げ下げして服を選びます。「普段はMサイズだけど、この素材でこの太さのボトムスなら、もう2つくらいサイズを上げて着てみるのがバランスいいかな。」という感じ。相当の知見が必要になりますね。
つまり、全身をUNIQLOで揃える方が難易度が高いということです。
おすすめは、大手セレクト系にUNIQLOや無印といったファストファッション系をミックスしたスタイル。見た目にもお財布的にもバランスよく仕上がります。
プロが選ぶと「客観性」と「継続性」が手に入る
私のようなパーソナルスタイリストは、その個々人に応じた「最適なアイテム」を軸にコーディネートを考えるため、最小限の枚数でコーディネートを最大化します。
特定の店やブランド、価格帯に縛られない知見があるため、複数のブランド・店の商品の中から、客観的に似合うアイテムを選ぶことができるからです。
初回の買い物動向でアイテムの軸が出来上がるため、購入後に買い足していくべきアイテムも明確。
継続性も生まれ、結果的にトータルの費用を抑えることができますよ。
【まとめ】清潔感は誰でも作れる!清潔さに加えて服装を整えよう

仕事でもプライベートでも、第一印象で好感を持たれるための必要条件が清潔感。
欠けていれば機会損失をすることになりますが、清潔感は清潔であることを前提に、5つのポイントで作ることができます。
- 【サイズバランス】大きすぎないリラックスシルエットが良い
- 【色使い】クリーンな印象の定番カラーを3~4色取り入れる
- 【素材選び】 シワ・毛玉・テカリがあると清潔感にはマイナス作用
- 【デザイン】無地ベースで柄モノは1つまで
- 【靴・小物】身体の先端部分を整える
この辺りを押さえておけば、大抵の清潔感ニーズには応えられるでしょう。つまり、センスは不要です。
本記事で、今まで漠然としていた清潔感の正体が多少なりともクリアになったのではないかと思います。
それでも、自分ではイマイチよく分からない・客観的に確度を上げたい・時間をかけたくない、という方は、プロに相談するのも良いと思います!
「あなたに合う清潔感スタイル」をプロが提案します。